リンクスを科学する

遊戯王デュエルリンクスを理系的観点から考察するブログです

カナディアと底なしの違いについて

【はじめに】

今回は「バージェストマカナディアと底なし落とし穴の違い」についてどう考えたら良いか分からないので教えて欲しいという要望をいただいたので、それについて書きたいと思います。結論から言うと私自身も突き詰められている段階ではなく、以前の「カードの採用理由を考えよう」の記事で書いたことを地道にやるしかないと思っています。ただせっかくご連絡いただいたので以前の記事の実践編ということで具体的にどのように進めていけばよいのか、ということを紹介していきたいと思います。今回もかなり長い文量になってしまったので読みたくない人のために現状の結論だけ書いておきます。

 

【現状の結論】

 

底なしが有効な相手のテーマ

コアキメイル、古代、

カナディアが有効な相手のテーマ

恐竜、アマゾネス、魔導

 

【本題】

以前の「カードの採用理由を考えよう」の記事で紹介した手順をもう一度おさらいしておきます。

➀そのカードでなければいけない場面を洗い出す

②その出現頻度を考える

ではまず➀について考えてみます。

 

➀そのカードでなければいけない場面を洗い出す

➀について考える時には、本当に具体的な場面まで落とし込む必要があります。そのためにはまず実際に対面するテーマを洗い出すところからです。では今回は自分が使うテーマをアマゾネス、仮想敵をコアキメイルと設定して考えてみます。

具体的な場面を洗い出すには主に2つやり方があります。

・実際にデュエルをする

・自分が調べたい場面を意図的に作り出して検証する

まず、一つ目の実際にデュエルをするというのは皆さん普段からやっていることだと思います。➀を達成するにはただデュエルするだけでなく、そのデュエルをしっかり振り返ることが重要です。今回であれば例えば底なしを引いた場面で、カナディアを引いていたらそのあとの展開はどうなっていたか考えることが振り返るということです。もしそこで結果が変わっていそうとなれば、そこに明確な違いを発見したということになります。明確に生じる違いを意識しながらデュエルをすることと振り返ることを何度も繰り返して行けば➀はいずれ達成されることになります。

2つ目は、実際にデュエルをするのではなく自分が気になる場面を意図的に作り出して検証するというものです。具体的には例えばコアキメイルの初手を自分が好きなように(あるいはランダムに)設定し、試合がどのような展開になるのか自分1人で検証してしまうというものです。これは例えば自分の頭の中で検証してみたり、実際にカードを買って1人回ししてみるなどやり方はいくつかあると思います。ランクマッチで実際デュエルして場面を洗い出そうと思っても、自分がやりたいテーマを相手が使ってくれない場合がほとんどなので、一緒に調整する人がいないという方はこの2つ目のやり方をすることになると思います。逆に一緒にデュエルしてくれる人がいるという方は一つ目のやり方でも効率よく出来ると思います。

 

この二つのやり方のメリットとデメリットを以下に書いておきます。

・実際にデュエルをする場合

メリット:自分が想像も出来なかった新しい場面に遭遇することが出来る

デメリット:調べる必要のない場面に遭遇する場合も結構あり、時間がかかる

・調べたい場面を意図的に作り出して検証する場合

メリット:調べる時間を短縮出来る

デメリット:自分の想定の域を越えられないため、抜け漏れがあるとリアリティのない結果が得られてしまう

 

それぞれメリットデメリットがあるので両方やりつつ自分に合うやり方を見つけるのが良いかなと思います。以上を取り組むことで➀を洗い出していくことが出来ます。今回は場面を一例だけ紹介します。

・アマゾネス側が先攻でカナディアをセット→コアキメイル側がウルナイト召喚時にカナディアをされる→アマゾネス側のモンスターはアマゾネスの剣士しかいないためウルナイトを処理できず→コアキメイル側がウルナイトを反転召喚し、効果でサンドマンを出してそのまま押し切って勝ち

この試合がもし底なし落とし穴であれば、アマゾネス側はウルナイトを処理する手段を持っていなくても時間を稼ぐことができ、アマゾネス女王やアマゾネスの急襲を引くまで粘ることが出来た可能性があります。この場面では底なし落とし穴の方が有効といえます。

これはただ一つの場面に過ぎませんが、これくらい具体的な場面を想像するとよりリアリティのある考察が出来ると思います。また、こういった場面をたくさん洗い出せば洗い出すほどより自信をもって判断することが出来るので、とにかく出来るだけたくさんの場面を洗い出しましょう。また、今回の例でも本当はまだ完璧とは言えない側面があります。それは何かというと実際の勝率にはどう影響しているのか、ということです。これについて書くと長くなってしまうので省略しますが、最終的に知りたいのは勝率なので、実際勝ち負けに影響しているかどうかまで突き詰めて考えられると完璧な考察になります。

 

では次に②について考えます。

➀で洗い出した場面が実際にどれくらいの頻度で出現するのかということです。例えば今回であれば以下のような条件が発生しています。

・アマゾネス側が先攻

・アマゾネス側がカナディアを引いている

・アマゾネス側は急襲、王女、攻撃力1600以上のモンスターを持っていない

・コアキメイル側がウルナイトを持っている

以上の条件をみたとき、どれくらいの頻度で起こりえることなのか皆さんはわかるでしょうか。これについて厳密には確率計算をした方が良いのですが正直面倒だと思う方が多いと思いますし、時間もかかることなので、直観的に大体の確率を当てられる感覚を持っておくのが理想だと思います。私も厳密な確率計算を毎回しているわけではなく、なるべく条件をシンプルに簡略化して概算しています。例えば今回の例では以下のようになります。

・アマゾネスが先攻→50%

・アマゾネス側がカナディア(3積み)を引いている→50%

・アマゾネスが急襲、王女、攻撃力1600以上のモンスターがない→30%

・コアキメイル側がウルナイトを持っている→60%

1つ目は先攻を引く確率です。2つ目は3積みのカードを先攻初手に1枚以上引いている確率です。3つ目はアマゾネスの構築にもよりますが、今回は1600以上のモンスターを2枚入れていると仮定して計算してます。4つ目は金剛核が絡むとややこしくなるので一旦無視して(今の環境では金剛核がある場合はマキシマムを優先するのがほとんどであるため)ウルナイトを素引きする確率として置いています。これらの条件を全てかけると4.5%と出ます。つまり、カナディア3積みの構築を底なし3積みした場合4.5%のデュエルで今洗い出したような場面に遭遇するということが分かります。ただそもそもカナディアと底なしは両方採用しているという人には関係ない話なのであくまでも参考例として捉えてください。この確率は低いように感じますが、このように違いが出る場面をどんどん洗い出していけばより大きな差となっていきます。ここで言いたかったのはあまりにもレアケースの場面を追ってしまうことは意味がないので気を付けましょうということです。よくあるケースで差が起きるような場合には明らかにそれはその2枚のカードの明確な違いと言えますし、確率計算にこだわる必要はありません。場面を洗い出した後に何を優先すればよいのかという判断基準としてこの②がヒントになるということなので、どうしても迷ってそれでも突き詰めたいというときに②を考えましょう。まずは➀をしっかりやることの方が重要です。

 

以上となります。ここからは私の個人的な見解を少し述べます。今回のテーマは正直非常に難しいテーマだと思いました。なぜならこの2枚はそもそも役割が似ていてそれぞれメリットデメリットが存在するからです。私の自身も突き詰められていない状況ですが今現状で思いつくこの2枚の採用基準としては以下となります。

 

➀使った後すぐに相手のモンスターを処理出来るギミックを用意出来ているか

先ほどのアマゾネスvsコアキメイルのように、これが出来ない場合底なしの方が優先と考えます。これが出来ないと、ただ1ターン遅延するだけのジリ貧カードになってしまいます。

トークンを出したい場面が多いか

これは以前のバスターブレイダーのデッキのように融合素材にしたり相手のライフを詰めるためにトークンがかなり活躍してくれるデッキではカナディアを優先していました。このほかにも、こちらが常にトークンを出せる状況にしておくことで相手のトークンを出させるのを妨害するメリットがあるのでそういうのが有効な環境においてはカナディアがいいと思います。

③相手のモンスターゾーンをロックすることで止まるデッキが多いかどうか

底なし落とし穴のメリットとして、相手のモンスターゾーンを埋めてしまうロック要素があるということが挙げられます。特に自分のモンスターを処理するギミックをあまり持っていないデッキ相手には底なし落とし穴と分断の壁を両方採用していることで相手の盤面をロックしてしまって、デッキ切れという勝ち筋も生まれます。またコアキメイルのようなデッキに対してはデッキ切れを狙うことは出来ないものの、相手が最初に出したモンスターを底なし落とし穴することで、その横に出してきたウルナイトをスルーしても、相手はモンスターゾーンが埋まってしまっているためにサンドマン+マキシマムを出すことが出来ないという状況が生まれるのでそこもメリットとなります。お互いのデッキの特性にもよりますが、このようなことが狙えるデッキではカナディアよりも底なし落とし穴の価値が高まります。

④守備1200未満のモンスターが流行っているかどうか

カナディアの強みとして、使った後に守備が低いモンスターを攻撃するとき、相手が罠を使ってくればそこにチェーンして墓地のトークンを出してそのトークンでも攻撃できるという点であると思います。つまり、守備1200未満のカードが流行っている環境ではかなり小回りの利く強いカードといえます。

⑤裏にするタイミングが重要になるか

底なし落とし穴のデメリットとして、発動条件が厳しいということが挙げられます。例えばチェーンを挟まれてチェーン2の効果によって出されたモンスターに底なし落とし穴を打つことは出来ないため、1ターンだけ相手の攻めを確実に止めたいという観点ではカナディアに比べて劣ります。また、今は流行っていませんが聖騎士が装備魔法を付けようとしたときにカナディアをチェーンしたり、恐竜デッキの生存境界にチェーンして相手の通常モンスターを裏にすることで、妨害出来るというメリットがあります。このように裏にするタイミングが重要になるケースではカナディアの価値が高まります。

 

以上となります。他にもあると思いますが私のなかで大雑把に捉えていることとすればゆっくりした戦いをするデッキでは底なし、早い展開を重視したデッキではカナディアを採用するといったことがあります。また、これらのカードはどちらとも採用すべきという場合もあるのでそこは柔軟に考えてみましょう。いろいろと書きましたが一番伝えたいこととしては、なんとなくではなく理由をもって判断するということです。理由を見つけるのは簡単なことではありませんが、日々のデュエルを地道に見つめることで一つ一つ探していっていくしかないと思います。

長い記事となりましたが最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

【まとめ】

理由を持って判断しよう

理由を探がす努力をしよう